お庭や外構は、家の顔です。
当然見た目は最重要課題です、そんなことは百も承知しております。
しかしそれと同じ位、いや、それ以上に大切なのが、
そこに住まう住人にとって安心・安全で心から安らげる場所であるかどうかなのです。
高齢者に優しいお庭は、子供たちにとっても優しいお庭であり、
若い世代にとっては将来を見据えたお庭となります。
段差の有無や、アプローチの幅、庭の凹凸処理や樹木の配置や種類の選定、
雑草への対応や駐車の難易度の軽減、生活動線の検討など、
庭や外構をデザインする上で、配慮しなければならない項目は無数にあります。
どれ一つをとっても無視できない大切な要素です。
土地の高低差や面積が全く同じという条件のお宅が世の中に二つと存在しない様に、
100の家族があれば100通りのお庭のデザインがあり、
立地条件と家族構成に合わせて真剣に考えなければなりません。
とにかく見た目だけに気をとられ、
その後の長い生活の場である事をおざなりにてしまっては本末転倒なのです。
そうは言っても、大なり小なり設計者は自らのエゴを押し付けてしまう事があります。
何を隠そう私自身今でもその葛藤を繰り返しています。
未熟さ故に、過去にも「自分が造りたい庭」を
お客様に押し付けてしまう事もあったのかもしれません。
そんな過去の反省も踏まえ、私達設計者はデザインと安全性を「お客様」の立場で考え、
決して自分本位の設計になりすぎない様心がける責任があると考えます。
「設計者のこだわり」は当然必要です、これが無くてはプロではありません。
しかし、
お客様も設計者に頼りきりになるのではなく、
少しでも生活のイメージを膨らませ自分の想いや希望をを設計者に伝える努力も必要
だと思います。
意見を言う事は決して悪い事ではありません。
むしろ設計者にとって「良い判断材料」が増える事になるので
どんどん意見をするべきです、質問の嵐大歓迎です。
こういう信頼関係が大事なんです。
家づくりを含め庭づくりも「数多くの対話」が極めて重要なんです。
腹の探り合いをするのではなく、共に良い作品を作り上げる同志として
お客様と設計者が膝を突き合わす事が出来れば、素晴らしい物づくりが必ず出来るはずです。